この記事の要点
日本のランサムウェア被害は高止まりしている
警察庁によると、企業・団体等から報告されたランサムウェア被害は2022年が230件、2023年が197件、2024年が222件、2025年が226件でした。[2][3][4][1] 警察庁は2025年の状況を「依然として高水準で推移」と表現しています。[5]

図 1
ランサムウェア被害の報告件数(規模別、2022〜2025年)
報告件数は2022年230件、2023年197件、2024年222件、2025年226件。どの年も中小企業が最も多く、2025年は143件でした。
- 中小企業
- 大企業
- 団体等
データを表で見る
| 中小企業(件) | 大企業(件) | 団体等(件) | |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 121 | 63 | 46 |
| 2023年 | 102 | 71 | 24 |
| 2024年 | 140 | 61 | 21 |
| 2025年 | 143 | 64 | 19 |
2025年の226件のうち、中小企業は143件、大企業は64件でした。[1] 2025年上半期だけを見ると、中小企業の被害は77件で約3分の2を占め、件数・割合ともに過去最多になっています。警察庁は、RaaS(ランサムウェアを“サービス”として貸し出す仕組み)で攻撃者のすそ野が広がり、対策が比較的手薄な中小企業の被害増につながっていると分析しています。[6]
手口も悪質になっています。手口を確認できた153件のうち136件(88.9%)が、データを暗号化するだけでなく盗み出して「公開する」と脅す二重恐喝でした。[1] 業種別では製造業が約4割を占めます。[5]
侵入口の多くは「外から見える入口」
警察庁は毎年、被害に遭った企業・団体に感染経路を尋ねています。2025年の有効回答92件のうち、VPN機器からの侵入が61件(66.3%)、リモートデスクトップからの侵入が19件(20.7%)でした。[1] この傾向は2022年から続いています。
図 2
ランサムウェアの感染経路(警察庁アンケート、2022〜2025年)
VPN機器からの侵入は2022年62%、2023年63%、2024年55%、2025年66.3%。リモートデスクトップは19%、18%、31%、20.7%でした。
- VPN機器
- リモートデスクトップ
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| VPN機器(%) | リモートデスクトップ(%) | |
|---|---|---|
| 2022年 | 62% | 19% |
| 2023年 | 63% | 18% |
| 2024年 | 55% | 31% |
| 2025年 | 66.3% | 20.7% |
原因として警察庁は、ID・パスワードが非常に安易だったこと、不要なアカウントが管理されずに残っていたことを挙げています。海外拠点の機器を管理できておらず、そこから侵入されて国内の本社が被害に遭った事例もありました。[7] つまり「自社がインターネットに何を出しているのか」を把握できていないこと自体が、リスクになっています。
中小企業の調査でも同じ傾向が見えます。IPAの2024年度調査では、不正アクセスを受けた企業の48.0%が「脆弱性(パッチ未適用など)を突かれた」と答え、19.8%は取引先やグループ会社を経由して侵入されていました。[8]
海外の調査も一致しています。Verizonの2025年版データ漏えい調査報告書(DBIR)では、脆弱性の悪用が侵入の手口の20%を占め、前年から34%増えました。[9] 悪用の対象のうちエッジ機器やVPNは22%で、前年の3%から約8倍に増えています。これらの脆弱性のうち完全に修正されたのは約54%にとどまり、修正までの日数の中央値は32日でした。[10]
米国CISAは、実際に悪用が確認された脆弱性を「KEV(Known Exploited Vulnerabilities)カタログ」として公開しています。2026年10月8日版のカタログには1,739件が掲載され、そのうち361件はランサムウェアでの悪用が確認済みとされています。2025年に追加されたのは245件でした。[11]
図 3
CISA KEVカタログへの年別追加件数(2021〜2025年)
追加件数は2021年311件、2022年555件、2023年187件、2024年186件、2025年245件でした。
データを表で見る
| 追加件数(件) | |
|---|---|
| 2021年 | 311 |
| 2022年 | 555 |
| 2023年 | 187 |
| 2024年 | 186 |
| 2025年 | 245 |
注: CISAが公開するKEVのJSONフィード(2026年10月8日版)の dateAdded を年ごとに数えた値です。2021年はカタログ開設時の一括登録を含みます。
出典: [11]
国内の主な事例
被害は特定の業種にとどまりません。ここ数年で公表された主な事例を、各社・公的機関の発表に基づいてまとめます。

2023年7月
名古屋港(名古屋港統一ターミナルシステム)
ランサムウェア感染により、約3日間にわたりコンテナの搬入・搬出が停止。荷役スケジュールに影響が出た船舶は37隻、影響を受けたコンテナは約2万本(推計)でした。 [12]
2024年6月
KADOKAWAグループ
「ニコニコ」を中心としたサービス群が停止。外部への漏えいが確認された個人情報は254,241人分。フィッシングなどで従業員のアカウント情報が盗まれたことが根本原因と推測されています。 [13]
2024年12月
日本航空(JAL)
社内外のネットワークをつなぐルーターに社外から大量のデータが送りつけられ(DDoS攻撃)、システム障害が発生。国内線・国際線あわせて71便が30分以上遅延し、4便が欠航しました。顧客データの流出は確認されていません。 [14]
2025年9月
2025年10月
被害は「止まる」「漏れる」「長引く」
警察庁が2025年の被害組織に行ったアンケートでは、調査・復旧に総額1,000万円以上を要した組織が全体の5割を超えました。1か月未満で復旧できた組織は5割強にとどまり、被害が長期化する傾向があります。[5]
中小企業でも影響は小さくありません。IPAの調査では、サイバーインシデントによる被害額の平均は73万円(最大1億円)、復旧までの期間は平均5.8日でした。被害を受けた企業の約7割が、取引先にも影響があったと答えています。[8]
情報漏えいも増えています。東京商工リサーチによると、2025年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は180件、対象は3,063万6,910人分で前年のほぼ2倍でした。原因の最多は「ウイルス感染・不正アクセス」の116件(64.4%)です。[16]
図 4
上場企業の個人情報漏えい・紛失事故の原因(2025年)
180件のうち、ウイルス感染・不正アクセスが116件で最多。誤表示・誤送信が37件、紛失・誤廃棄が18件、不正持ち出し・盗難が7件でした。
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| 件数(件) | |
|---|---|
| ウイルス感染・不正アクセス | 116 |
| 誤表示・誤送信 | 37 |
| 紛失・誤廃棄 | 18 |
| 不正持ち出し・盗難 | 7 |
注: 主な原因のみを表示しています(合計は180件になりません)。
出典: [16]
世界全体では、IBMの2025年版調査でデータ侵害1件あたりの平均コストは444万ドルでした。米国では1,022万ドルと過去最高です。[18]
専門家が選ぶ脅威の上位
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」(組織編)では、1位が「ランサム攻撃による被害」で11年連続の選出、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」でした。ほかに「システムの脆弱性を悪用した攻撃」(4位)、「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」(8位)、「DDoS攻撃」(9位)が入っています。[19]
まず「外から見える自社」を知る
ここまでの統計と事例に共通するのは、攻撃者がまずインターネット側から会社を眺め、入れそうな場所を探しているという点です。公開されたVPN機器、リモートデスクトップ、管理されていない拠点のサーバー、設定が甘いメールのドメイン。どれも外から見えるものです。

一方で、IPAの調査では中小企業の約7割が組織的なセキュリティ体制を整備できておらず、62.6%は過去3期にセキュリティ投資をしていません。[8] 専任の担当者がいなくても、まず自社の「見え方」を知ることから始められる仕組みが必要です。
ZeroKaiにできること
ZeroKaiは、ドメインを入力するだけで、そのドメインについてインターネット上にすでに公開されている情報を読み、外から見える範囲のリスクを整理するサービスです。
- 対象には接触しません。ポートスキャンやページの読み込みは行わず、DNSの問い合わせも公開リゾルバー経由です。
- 確認する項目:メール認証(SPF・DMARC)とDNS設定、証明書の透明性ログに記録されたホスト名、ドメインの登録情報と有効期限、IPアドレスのネットワーク情報。公開サービス(Shodanの観測データ)は、所有を確認したドメインだけが対象です。
- 詳細は所有者だけに表示します。メールアドレスのドメインが一致する場合か、DNS TXTレコードで所有を確認できた場合に限り、資産一覧と指摘の詳細を表示します。
- すべての指摘に、根拠・取得元・観測した時刻を添えます。社内や取引先への説明にそのまま使えます。
- 読めなかった項目は「未確認」と表示し、「問題なし」とは見なしません。
- CISA KEVとJVN iPediaの脆弱性情報を定期的に取り込み、画面で参照できます。自社の資産とCVEを自動で照合する機能は、今後の対応予定です。
導入するメリット
- 専任の担当者がいなくても始められます。必要なのはドメインとアカウントだけです。
- 攻撃者と同じ「外からの視点」で、優先して直すべき点が分かります。
- 根拠と時刻が付いているので、取引先からセキュリティ対策を求められたときの説明材料になります。IPAの調査では、取引先から対策を求められたことがある企業の42.1%が、求められた対策を行ったことが取引につながった大きな要因だと答えています。[8]
- 対象に通信しないため、本番システムに負荷や影響を与えません。
今日からできること
出典
本文中の[番号]は、以下の出典に対応しています。 リンク先は2026年10月13日に確認しました。
- [1]警察庁「令和8年版 警察白書 第3章「サイバー空間の安全の確保」」、2026年7月
- [2]警察庁「令和5年版 警察白書「ランサムウェアの情勢」」、2023年
- [3]警察庁「令和6年版 警察白書「ランサムウェアの情勢」」、2024年
- [4]警察庁「令和7年版 警察白書「ランサムウェアの情勢」」、2025年
- [5]警察庁サイバー警察局「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」、2026年3月
- [6]警察庁サイバー警察局「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」、2025年9月
- [7]警察庁サイバー警察局「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」、2025年3月13日
- [8]独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「「2024年度中小企業等実態調査結果」速報版を公開」、2025年2月14日
- [9]Verizon「Verizon’s 2025 Data Breach Investigations Report(ニュースリリース)」、2025年4月23日
- [10]Verizon「2025 Data Breach Investigations Report: Executive Summary」、2025年4月23日
- [11]米国CISA「Known Exploited Vulnerabilities Catalog(JSONフィード、2026年10月8日版。2026年10月13日取得)」、2026年10月8日
- [12]内閣官房「名古屋港コンテナターミナルのシステム障害を受けた対応(資料2)」、2024年1月
- [13]株式会社KADOKAWA「ランサムウェア攻撃による情報漏洩に関するお知らせ」、2024年8月5日
- [14]Aviation Wire「JAL、26日は遅延71便と欠航4便 システム障害で」、2024年12月26日
- [15]アサヒグループホールディングス「Investigation Results and Future Measures on Cyberattack Data Exposure(サイバー攻撃による情報漏えいに関する調査結果と今後の対応について)」、2025年11月27日
- [16]東京商工リサーチ「上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 2番目の180件発生、漏えい人数は約2倍増の3,063万人分」、2026年1月30日
- [17]アスクル株式会社「ランサムウェア攻撃の影響調査結果および安全性強化に向けた取り組みのご報告(第13報)」、2025年12月12日
- [18]IBM「Cost of a Data Breach Report 2025(プレスリリース)」、2025年7月30日
- [19]独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026」、2026年1月29日
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